平成26年度 地域創業促進支援事業「一宮創業スクール」開催報告(第1回~第4回)

開催の経緯について

国内の中小企業・小規模事業者数は年々減少傾向にある中、政府が平成25年6月に取りまとめた「日本再興戦略」において、開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率を米国・英国レベルの10%台に向上させるという目標が掲げられました。

一宮市においても市内の事業者数の減少はもちろん、名古屋・岐阜へのアクセスが良い事から、中心市街地においてはマンションやビジネスホテルの増加といった、いわゆるベッドタウン化が目立つようになりました。

このような現状から、一宮市は、今年6月に国から「産業競争力強化法」の認定を受け、地域における創業を促進するため、一宮商工会議所、いちい信用金庫、尾西信用金庫と連携し、創業支援を実施する体制を構築しました。

一宮商工会議所も、より多くの創業希望者の方に創業のノウハウを学んでいただく場を設ける事で、創業実現に結びつくのではないかと、「一宮創業スクール」の開催に踏み切りました。

一宮創業スクール開催レポート

第1回

開催日時:9月20日(土) 13:30から17:00
講師:なかよし経営相談事務所 代表 東野 礼 氏(中小企業診断士)
講義内容:経営理念の重要性と描き方。事業領域の定義付け。
受講者数:24名(男性14名・女性10名)

東野先生より「経営理念とはどういったものか」を具体的に説明いただき、その後、経営理念の重要性についてお話いただきました。
「経営理念とは、迷った時に決断するよりどころである」と、経営理念が明確でなければ経営計画もしっかりと立てる事が出来ない事を強く主張されました。
経営理念と事業活動の関係性については、現在と将来のあるべき姿を登山に例えながらワークを通じ、分かりやすく解説いただきました。

第2回

開催日時:9月25日(木) 18:30から21:00
講 師:長尾会計事務所 所長 長尾 哲也 氏(税理士)
講義内容:創業時に必要な手続きと個人事業と法人の違い。税務会計と会社法の基礎。
受講者数:27名(男性15名・女性12名

当日は法人設立に必要な手続きを中心に説明いただいた。
また、「会社設立に注意!知っておくべき7つのポイント」として、①資本金の額、②創業時の資金不足、③銀行口座の開設、④事業年度と免税期間、⑤青色申告、⑥源泉所得税の納付、⑦役員報酬額について、分かりやすく事例を交えながら解説いただきました。
特に④については、会社設立日によって消費税の免税期間に違いが生じる事から、設立をいつにするのかはよく考えた方がよいとのアドバイスをいただきました。

第3回

開催日時:10月2日(木) 18:30から21:30
講 師:オフィス・HANDO 代表 寺田 久美 氏(中小企業診断士)
講義内容:マーケティングの基礎と商品・サービスのコンセプト作り。商品開発計画。
受講者数:28名(男性17名・女性11名)

先ずは、「何が売上になるのか」を考える事からカリキュラムが始まりました。
原価に上乗せする利益が売上ではなく、商品や会社の「付加価値」も大事な要素になる事を冒頭で説明されました。
そして、「誰に、何を、どのように」にあてはめていきながら、付加価値について深く説明いただき、グループワークとして、サラリーマンが昼食をとる場合、団体客で利用する場合、記念日に利用する場合に①どういったお店に行くか、②どんな基準で選んでいるか、③そのお店を選んだメリットは何かを考えていただきました。
このワークから、どういった顧客に商品・サービスを提供するかによって、事業コンセプトが変わる事を学んでいただきました。

第4回

開催日時:10月9日(木) 18:30から21:30
講 師:オフィス・HANDO 代表 寺田 久美 氏(中小企業診断士)
講義内容:販売計画と開拓。価格設定の考え方と効果的なプロモーション戦略。
受講者数:29名(男性18名・女性11名)

前回は、商品にどういった付加価値を与え、どういった対象(顧客)に販売するかを講義いただきましたが、今回は、「商品を何処でどのように販売するのか」について説明いただきました。
どのように販売するのかという点について、①組み合わせ販売、②商品の形態による販売、③購入者≠利用者の販売、④契約形態による販売の4つの事例を説明いただきました。
その後、①メーカーや容量、販売場所の違うドレッシングを、グループごとに4種類配り、そのドレッシングがいくらで販売されているか、②一枚の皿にどのような付加価値を付けて、何処でどういった顧客向けにいくらで販売するか、といった2つのワークを行いました。
第3回、第4回では「マーケティングの4P」について、グループワークを交えながら理解を深めていただきました。